ババのきもち。
桃月庵白酒WEBラジオ「白酒のキモチ。」からのスピンオフ連載。
ざぶとん亭風流企画の馬場さんの“独り言”、毎月更新します。ぜひお楽しみください。
感想お待ちしています~。
2025/06/01
『白酒さんとのズレズレ日記』 其の五 2025年6月1日
さて、前回執筆から睡眠時間の6時間と朝食と朝ドラの1時間、計7時間が経ちました。 ■「白酒のキモチ。落語会」チケット情報はこちら
六〇と、お八歳のわたし、おかげさまで今日も元気です。
さてもめでたき連載第五回、さっそく白酒師匠のオハナシをお届けいたしましょう。
ざぶとん亭風流企画』主催
〈 桃月庵白酒 新作古典ひとつずつシリーズ 〉五月二二日、渋谷大和田の伝承ホール。
今回は『皐月のキモチ。』と題し、ゲストに今話題の活弁士坂本頼光先生をお招きしての開催でした。おかげさまで、満員御礼。これをお読みに中にもいらして下さった方も多いのでは。
恒例オープニングのスケッチショーもドカンとウケて、坂本頼光先生の自家薬籠中の傑作『サザザさん4』も、お客様全員が涙目で笑うという凄い熱演。
逸材、坂本頼光ここにあり!でした。
そして、お待ちかね桃月庵白酒師匠の新作と古典の卓越した高座!
いまだに余韻で思い出し笑いをしております。
新作は期待以上の面白さ。
開演前、サウンドチェックの後に、「新作、どう?」とお尋ねしたら、笑みを浮かべ「作りましたよぉ」と。なんとも頼もしい白酒師匠。
以前、お江戸日本橋亭の新作コンテストで出会った作品を改良しようと思ったら、すっかり全部が変わって全く新しい噺が出来ちゃいまして、とおっしゃってたよ。換骨奪胎とはこのことなり。
開演前に聞いたおおまかなストーリーだけで、面白い!と唸ったけれど、実際の高座は想像以上、期待以上の出来上がり。
いずれこの演目を聴くであろう読者の皆様なので、お楽しみの為に詳細は書かずにおりますが、これぞ、画期的な幽霊譚! なんとも親しみのあるそそっかしい幽霊のオハナシなんですよ、とだけお伝えしましょう。
粗忽を現在で表現するとこうなるかと、この幽霊に共感できるし、友達になりたいくらいのいい奴。
白酒さんのコメディセンスたるや。ミスリードからのテンポの良い展開も絶妙です。
スローなコマ送りのようなシネマティックな描写が実に効果的で、登場人物や場面転換がまさにコミック映画となって別世界へ連れて行ってくれます。
聴くことは観ることだ!
そう感じさせてくれるのが白酒らくごだなと思います。
白酒さんは天才!と常日頃から思っているのですが、この新作に聴き惚れて、その思いがますます強くなりましたよ。この噺、シリーズ化もできる要素がたくさんあるのでアニメにしても売れそうだよ。
気になる演目名。
「タイトルはなあに?」と尋ねると、「まだなので、ババさん考えてください」。
なんとなんとこの名作の命名権をボクなんかが頂いていいのか。じつに光栄なことではありますが、さすがに躊躇しますよね。
でもホントは、めんどくせえからババさんつけといてねー、なのかもしれませんが、あはは。でも、こちとらそーゆーのきらいじゃない、つーか前のめりで好き好きー、なのです。この新作を楽しく聴いている最中から、タイトル候補がいくつか出てきてたんですよ。
で、この白酒師匠のシネマティックなセンスに気がついて、師匠が好きなカウリスマキを意識してネーミングしてみました。
『虹の男』。
どうでしょう。虹は噺を聴くとわかります。なかなか良い味が出てると思いますが。
粗忽幽霊とかオーソドックな感じもありかな、とか思ったのですが、中身がわらない方がおしゃれかな、と。
桃月庵白酒師匠の創作落語『虹の男』は、ちょっと胸キュンもある愉快な幽霊噺です。
いつか出会ってくださいね。
この名作にネーミングさせてもらえたことは、この連載落語エッセイ『白酒さんとのズレズレ日記』始まって以来の初めてのコラボレーション。でも、ホントに面倒くさがっていて、この時のリアルな〈白酒のキモチ。〉を僕が読み違えていただけかも、いいのいいの、だから『白酒さんとのズレズレ日記』なんだもん。ズレちまった愛おしさに頬ずりスリスリ。二階にやっかい、やっさいもっさい、誤解は理解の入り口なのよ、っときたもんだ。
そして、この日、後半の古典落語は『お化け長屋』!
なんと幽霊噺の二段重ね。しかも、白酒師匠のこの演目、超絶技巧の声のアーティキュレーション。唯一無二の白酒版! 面白さの次元が違うんだぜ。
終演後、お客様の満足した表情を見て、すっごい充実感。
白酒師匠、いつもありがとうね。
皆様のご来場、ご注目、まことにありがとうございました。
さて、ここで、読者の皆様に美味しい御馳走のようなお知らせです。
我らソニー来福レーベルの次の企画で、さらに白酒師匠の魅力をブーストして行きますよ。
題してWEBラジオ『白酒のキモチ。』十周年記念『白酒のキモチ。落語会』
最高のゲストとの三公演です。
七月一七日ゲスト瀧川鯉昇師匠
八月一五日ゲスト柳家喬太郎師匠
九月〇三日ゲスト春風亭昇太師匠
どうです、素敵なラインナップでしょ!
毎回、特別企画として、白酒師匠が敬愛するゲスト師匠の持ちネタを教わり披露するという興味深い、そして意味深いトライアル。
そして、対談コーナーでは、皆様のいまコレを聞きたいという希望をババが代わりに師匠方にお届けいたします。 『白酒のキモチ。』ホームページの通信蘭に、十周年落語会でこの師匠にこれを質問して、みたいなメールをぜひ送ってくださいね。この連載の感想も聞きたいな。
詳細は、ソニー落語レーベル来福のホームページやXもぜひチェックしてください。先行などの情報もいろいろありますのでお見逃しなく。
では、次の会場でお会いしましょう!